【円陣インタビュー】一人ひとりが自分の星を持ち、その星を認め合える社会へ

吉川さんが取り組んでいるのは、「自分のことを伝えられるツールをつくる」こと。それが Starting です。
障がいのある人の雇用は、いまだ短期で終わってしまうケースが少なくありません。制度はあるのに、なぜ長期雇用につながらないのか。どうしても「できる・できない」という線引きになってしまう現実があります。その中で吉川さんは、「こうしてもらえたらできる」という視点に光を当てたいと思いました。
活動テーマ
自分の特性や配慮事項を言語化できるツール「Starting」で、障がい当事者の“伝える力”を育むこと。
そして、そのツールをきっかけに、“自分を知ってもらうチャンス”を社会の中に増やすことを目指しています。
挑戦のきっかけ
“できること”と“伝えること”のギャップ
「自分の経験からも、障がい者雇用って長期雇用になっていないなとずっと思っていました。短期で終わってしまう。それで、何かないかなと思ったんです。」
最初は、そんなモヤモヤとした疑問からのスタートでした。
「自分はまだ口で説明できるけど、みんながみんな自分のことを言葉で説明できるわけじゃない。一人ひとり違うんですよね。」
“みんな同じじゃない”という当たり前の事実。けれど、その違いを言葉にする手段は、これまで体系化されてきませんでした。そこで吉川さんは考えました。「自分のことを言えて、それを周りに理解してもらえるツールがあったらいいな。」この発想が、Startingの原点です。
Startingとは?
Startingは、いわば “自分の取り扱い説明書” です。自分のことを知ってもらうためのツール。
「やる気はあるけれど、こういう配慮が必要なんです」ということを、あらかじめ言語化しておけるものです。例えば、「1時間に1回、5分休憩が必要です」といったことも、最初から共有できれば伝えやすくなります。
日常の中でよくあることでも、最初の一言が言いづらくて伝えられないことがあります。だからこそ、Startingは“伝えるきっかけ”になると吉川さんは考えています。
活動の流れと工夫
Startingを形にしていく中で、吉川さんは何度も試行錯誤を重ねました。「それを一緒に作る方法がわからない」「自分のことをどう言えばいいのか分からない」そんな不安を抱える人たちの姿を思い浮かべながら、“伝えやすくするヒント”を模索してきました。
最初から弱点や不得意に焦点を当てるのではなく、“強み”からスタートすること。それが、Startingの大きな特徴です。
直面した壁と前進
半年間の活動の中で、幾度も立ち止まる瞬間がありました。「進まないな、伝わっているのかな…。そう思うことも正直ありました。」
Startingは、まだ前例のない取り組み。伝え方や見せ方に悩む日々が続きました。それでも、少しずつ協力してくれる人が増え、状況は変わり始めます。参加者の中には、最初は自分のことを言葉にできなかった人が、少しずつ語り始めてくれる場面もありました。

「必要とされていない人なんて、いないと思うんです。」その言葉には、これまで関わってきた人たちへの信頼が込められています。
これからの展望
“理解し合う”ことから始まる社会へ
吉川さんが目指しているのは、障がいのある人だけが生きやすくなる社会ではありません。「障がい者の人も、健常者の人も、お互いがお互いを理解できる社会になってほしいんです。」
Startingは、配慮を求めるためだけのツールではありません。それは、自分を知ってもらうきっかけであり、対話の入口です。「分からないから怖い。知らないから壁ができる。でも、知ったらきっと変わると思うんです。」

Startingを通して、自分の特性や想いを言葉にすること。そして受け取る側も、「どうしたら一緒にできるか」を考えること。その小さなやり取りの積み重ねが、“特別な配慮”ではなく、“当たり前の理解”へと変わっていく。
「障がいがある・ないで分けるのではなく、みんなそれぞれ違うという前提で関われたら、きっと今より生きやすくなると思うんです。」
Startingが広がる未来は、誰かが我慢する社会ではなく、お互いを知りながら働き、支え合える社会。一人ひとりが自分の星を持ち、そしてその星を認め合える社会へ。
その星を見つけるプロセスこそが、Startingなのです。

この活動を通して支援したい人
- ✔ 自分の強みや配慮事項を言いたいけれど言えない人
- ✔ 障がい当事者の雇用や居場所づくりを考えている人
- ✔ 雇用の現場で本人をサポートしたい人
Startingが広がることで、吉川さんは「もう一歩踏み出せる未来」を社会に提示しています。

