【円陣インタビュー】人をつなぐことで、地域は動き出す。円陣プレイヤー・新川隼人の挑戦

「地域のいいものを海外に輸出するような仕事がしたいんです。」
新川隼人さんのもとに、SNSを通じて届いた一通のメッセージ。送り主は、東広島で生まれ育ち、今も地元で働く若い女性だった。やりたいことがあり、様々な機関へ相談した。しかし返事はなかった。それでも諦めずに調べ続け、新川さんの発信にたどり着いたという。
「人がいないって言いますけど、いるんです。」
声を上げる場所がないだけで、ポテンシャルのある人は地域に眠っている。その“接点”をつくることが、新川さんが円陣で取り組んでいるテーマだ。

当初、新川さんはスタートアップと地元企業をつなぐ構想を描いていた。外から新しい風を入れ、地域と掛け合わせる。そんなイメージで円陣に参加した。しかし、プレイヤーや伴走者との対話を重ねる中で、視点は少し変わった。
「県外との接続も大事ですが、まずは地域の中で人と人がつながることが必要だと感じました。」
円陣は単なる事業支援プログラムではない。プレイヤー、伴走者、サポーターが交差することで、思いがけない出会いが生まれる。その構造そのものに価値があると実感したという。
事務局とプレイヤー、両方を経験して

新川さんは2024年度、円陣の事務局として運営に関わった。今年はプレイヤーとして参加している。両方を経験したからこそ見えたことがある。
「プレイヤーに一番必要なのは、ゴール設定ができるかどうか。」
円陣は伴走者の支援が手厚い分、方向性がぶれてしまう可能性もある。だからこそ、自分自身で目標を定め、期限を意識することが重要だと語る。円陣は“誰かに導いてもらう場”ではなく、“自分で進むための場”。その覚悟が問われる。
円陣から生まれる実践
円陣でのつながりは、具体的な協業にも発展している。2024年度円陣サポーターとして登録されていた大洋印刷株式会社との商品化パッケージの連携もその一例だ。
さらに「カンパイコネクト」というイベントを立ち上げ、リアルな出会いの場もつくっている。今後は月500円の有料オンラインコミュニティの構想もある。本気で連携を求める人が集まる環境を整えたいという考えだ。円陣で得た“接続の感覚”は、プロジェクトの外にも波及し始めている。

安芸津というフィールド




新川さんは安芸津出身。一度大阪に進学したものの、就職で外に出る選択肢は考えなかった。近年、安芸津では店舗の閉店が続いている。
「店が減っていくのが嫌なんです。」
だからこそ、新しい店をつくり、人の流れを生む。流れができれば、また次の挑戦が生まれる。円陣での取り組みも、その循環をつくる一部だ。
人口減少が課題と言われるが、新川さんはこう話す。「150年前の安芸津は、今の4分の1の人口でした。」減っていることを嘆くより、今ある環境で何ができるかを考える。その姿勢が、地域で挑戦を続ける土台になっている。
静かな軸
「怒ったり、ぶつかったりするのは好きじゃないんです。」
人と比べないために、自分の中に複数の物差しを持つ。失敗も、長い目で見れば自分に貢献している出来事だと捉える。その静かな思考が、円陣という変化の多い環境の中でもブレない軸になっている。
「やりたい」と言ってほしい
やりたいことがない、という人もいる。そんな人には、まず「やりたくないこと」を考えてみてほしいと新川さんは言う。嫌なことをなくすにはどうすればいいか。その問いが、自分のやりたいことにつながることがある。
そして最後に、こう語る。「やりたいことは、やりたいって言ってほしい。わからなければ、わからないって言ってほしい。」
円陣は、そうした声が届き、つながる場だ。新川隼人さんの挑戦は、円陣を通じて、地域の中に新しい循環を生み出している。



